教員・研究者紹介

小田 透ODA Toru
特任講師

専攻分野:比較文学、批判理論

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学生の皆さんへメッセージ

「習慣と努力によって、私は自分の不完全な英語をかなり完全なものにすることが出来るかも知れない。今ですら、必要に迫られて、私はしばしば英語でものを考えている。しかし、リチャード・ブラックマーが「沈黙の言語」と呼ぶところのものーー思考が形をなす前の淵によどむものは、私の場合、あくまで日本語でしかない。そして、言葉は、いったんこの「沈黙」から切りはなされてしまえば、厳密には文学の用をなさない。なぜなら、この「沈黙」の部分を通して、私は日本語がつくりあげて来た文化の堆積につながっているからである。」(江藤淳『アメリカと私』)

「ネイティブは魂と言語がぴったり一致していると信じている人たちがいる。母語は生まれた時から脳に埋め込まれていると信じている人もまだいる。そんなのはもちろん、科学の隠れ蓑さえ着ていない迷信だ。それから、ネイティブの話す言葉は、文法的に正しいと思っている人もいるが、それだって「大勢の使っている言い方に忠実だ」というだけのことで、必ずしも正しいわけではない。また、ネイティブは語彙が広いと思っている人もいる。しかし日常の忙しさに追われて、決まり切ったことしか言わなくなったネイティブと、別の言語からの翻訳の苦労を重ねる中で常に新しい言葉を探している非ネイティブと、どちらの語彙が本当に広いだろうか……ネイティブは日常、非ネイティブはユートピア。」(多和田葉子『地球にちりばめられて』)

“But do not the bewitching powers of all studies lie in that they continually open up to us new, unsuspected horizons, not yet understood, which entice us to proceed further and further in the penetration of what appears at first sight only in vague outline?” (P. Kropotkin. Memoirs of a Revolutionist.)

"The only thing that makes life possible is permanent, intolerable uncertainty: not knowing what comes next." (Ursula K. Le Guin. The Left Hand of Darkness.)

"Hope is an embrace of the unknown and the unknowable, an alternative to the certainty of both optimists and pessimists." (Rebecca Solnit. Hope in the Dark.)

論  文

学会発表

  • P. Kropotkinʼs Blind Spots, or Anthropocenic Possibilities of Mutual Aid Across the Biosphere, 2024, ACLA, Montreal, Canada.

  • Language Learning as a Utopian Project: Tawada Yoko's Post-Disaster Trilogy, 2023, EAJS, Ghent, Belguim, Virtual.

  • Precarious Narrative Protest: Toward Fraternal Humanity in *Les Rougon-Macquart*, 2022, the International AIZEN/University of Alabama Conference, Tuscaloosa, Alabama, Virtual.

  • コロナ時代に希望はあるか――グレーバーからクロポトキンに遡る「相互扶助」の系譜、2021、日本未来学会9月オンライン例会、オンライン。

翻  訳

  • ピーター・クロポトキン『相互扶助論』論創社、2024。

  • デイヴィッド・ガーランド『福祉国家』白水社、2021。

  • “Neither Bird nor Beast: The Bruise Called Translation” and “Like a Bird, Like a Beast: Borders, Deserts, Translation,” Doug Slaymaker ed. *Wild Lines and Poetic Travels: A Suga Keijirō Reader*, 2021, Lexington ooks、pp. 195-211.

  • マルゲリータ・ロング「人間家族より、多種と連れ立て!――木村友祐作品と小林エリカ作品の母系をたどる」、木村朗子、アンヌ・バヤール=坂井編『世界文学としての<震災後文学>』明石書店、2021、437-75頁。

  • アレキサンダー・バークマン『監獄の回想』ぱる出版、2020。

学  歴

2016年
カリフォルニア大学アーバイン校比較文学科博士課程修了 .
Ph.D(比較文学、批判理論専攻).
2006年
東京大学大学院総合文化研究科超域文化科学専攻(表象文化論)修士課程修了.修士(学術).
2003年
東京大学総合文化研究科超域文化科学専攻(表象文化論)卒業.